先人の知恵をいまに生かす 雪室に貯蔵することで、 野菜のおいしさが増幅

三十年の歳月をかけて研究、七年前に完成 三十年の歳月をかけて研究、 七年前に完成

南魚沼市と津南町に広大な畑をもつ飯塚農場では、雪国の自然の恵みを活かし、雪室でにんじんやじゃがいも、米などを貯蔵し出荷しています。
農場主の飯塚恭正さんが雪室の発想を思いついたのは三十年ほど前のこと。
それから大学の先生のもと勉強会を重ね、試行錯誤を繰り返した結果、七年前に南魚沼市に雪室が完成しました。
豪雪地帯のこの地に冬降り積もった雪を、倉庫の裏からたっぷりと押し込むことで、倉庫全体が天然の冷蔵庫になります。
雪室にはピーク時で230tの雪を貯蔵。雪は通年あります。
魚沼みなみ有機米部会に所属する飯塚さんは、にんじんなどの野菜のほか、日本一のおいしさを誇る魚沼産コシヒカリの有機米も雪室貯蔵しています
室温は通年2℃前後、湿度は約90%に保たれます。でんぷん質が多いものは甘さが増します。にんじんは青臭さがなくなり、驚くほどおいしくなりますよと飯塚さん。
現在は大根やごぼう、こんにゃくいも、山いもなどの貯蔵をテストしながら、九州や四国で栽培する柑橘類も貯蔵し、雪室の力を全国に発信しています。 基本は土作りから。 略奪せず保存し続ける

雪室貯蔵でよりおいしい野菜にするためには、本物のおいしい野菜を育て上げることが大前提にあります。
そのために必要なのはいい土壌。飯塚さんは三十五年以上、土作りの勉強を重ねてきました。
人と環境にやさしい農業の第一歩は土づくりから始まりますと飯塚さんは言います。
農場で使う堆肥は、もみがらや、きのこ工場のおがくず、とうもろこしの芯などを三年間熟成させた自然由来のもの。
﹁地力保全﹂の考えのもと、南魚沼市と津南町の畑で、すいかやにんじん、じゃがいもなどを栽培しています。
特産の八色すいかは全国から注文が殺到し、七月下旬から八月中旬の旬には約八万個を出荷するほどの人気。
その甘さは、一度味わうと他のすいかが食べられないという人がいるほど。
八色すいかも、雪室貯蔵する野菜も、プロとして常に最高の味を追求し、研究しています。
数え切れないほどの失敗を乗り越え、ブランドを育て上げてきました。
消費者のおいしいという声を聞くために、きょうも飯塚さんの挑戦は続きます。 雪室野菜はなぜおいしい?

雪を大切な資源と考え、雪とともに生きてきた先人の偉大な知恵である天然の冷蔵庫、それが「雪室」です。
飯塚農場の雪室内の室温は2℃前後、湿度は約90%以上に保たれ、貯蔵庫の雪は通年溶けることはありません。
低温で高い湿度に保たれた場所に貯蔵することで、食品の水分が損なわれることなく、みずみずしく新鮮な状態で長期保存することができます。
さらに野菜や米などの穀類は低温で保存することで寒さから身を守るために体内のたんぱく質を糖分に変化させます。
この糖化現象により、にんじんやじゃがいも、米などがより甘く、おいしくなります。
自然エネルギーである雪の活用により電気を使わないことも、環境への負荷が少ないという点と、食品が電気振動を受けないという点からも良い影響があるといわれています。 にんじん ジュース

素材のおいしさをストレートに味わえるにんじんジュースも人気。
ラベルの絵は飯塚さんのお孫さん作 雪室 じゃがいも

じゃがいもも様々な種類をテストし、雪室貯蔵の効果を最大限に発揮できる品種を追求している 雪室 にんじん

安心安全な土壌で栽培されたにんじんは雪室で氷温貯蔵することでより甘く、食べやすくなる
平成25年度農商工連携等促進支援事業 雪国で食べる新しい雪室野菜の開発事業